はじめまして。美容ライターの中村さやかです。20代でエステティシャンとして働き始め、現在はフリーランスとして美容・ウェルネス分野を中心に取材・執筆活動をしています。これまで200以上のエステサロンを取材してきた私が、今回テーマに選んだのは「たかの友梨ビューティクリニック」。
「エステといえばたかの友梨」というフレーズを、一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。1978年の創業から現在まで、約50年にわたって女性たちから愛され続けているこのブランドは、いったい何が特別なのでしょうか。数多くのサロンが生まれては消えていく美容業界において、なぜたかの友梨だけがここまで長く選ばれ続けているのか——。今回は、その技術哲学と「愛の理念」の根幹に迫っていきます。
目次
波乱万丈の人生から生まれたブランド
創業者・たかの友梨の生い立ち
1948年(昭和23年)、新潟県南魚沼郡湯沢町に生まれたたかの友梨氏。その人生は、一言では語り切れないほどドラマチックなものです。
幼少期に複雑な家庭環境の中で育ち、15歳のときに戸籍謄本を通じて自分が養子であることを知るという衝撃的な体験をします。すべてを信じられなくなり、命さえも絶とうとした瞬間——川の水の冷たさで我に返り、「手に職をつけて生きていこう」と誓ったといいます。
その後、理容師として技術を磨き、上京。東京で働きながら夜は皿洗いのアルバイト、帰宅後は美容学校の通信教育という、想像を絶する努力の日々を送ります。やがて外資系化粧品会社へ転身し、自身のニキビ悩みをきっかけにエステの世界へと踏み込んでいきました。
フランスへの単身渡航と「本場技術」との出会い
1972年、たかの友梨氏はエステティックを学ぶため単身でフランスへ渡ります。8ヶ月間にわたる本格的な修行を経て帰国後、まず美顔器「ヴィッキー」の開発・販売からスタート。その評判が口コミで広がり、一躍時の人となりました。
そして1978年9月6日、友人の後押しを受け、東京・新大久保の雑居ビルのたった16坪というスペースに、記念すべき第1号店をオープン。これが「たかの友梨ビューティクリニック」の誕生です。
当時の思いをたかの友梨氏はこう語っています。
「お店を開いてもっとたくさんの女性をキレイにしたい、という想いがずっとあったのだと思います」
この言葉に、ブランドの原点が凝縮されています。
創業からの主な歩み
| 年 | 主な出来事 |
|---|---|
| 1972年 | エステ修行のためフランスへ単身渡航(8ヶ月間) |
| 1973年 | 株式会社東京美機設立。美顔器「ヴィッキー」発売 |
| 1978年 | たかの友梨ビューティクリニック1号店(新大久保)オープン |
| 1979年 | 青山にトータルエステサロン開設。美顔・ボディ・電気脱毛の3部門体制に |
| 1989年 | 地中海沿岸の海草療法「アルゴテラピー」をいち早く日本に紹介 |
| 2012年 | 日本のエステサロンとして初めてISO9001認証を取得 |
| 2019年 | 西日本豪雨支援活動が評価され、天皇より紺綬褒章を受章 |
| 2025年 | 「日本美容企業大賞2025」で2年連続3冠を獲得。2度目の紺綬褒章を受章 |
「愛といたわりの精神」——ブランドを貫く経営理念
自分の名前を屋号にした覚悟
たかの友梨ビューティクリニックが他のエステサロンと大きく異なる点のひとつが、創業者の個人名をそのまま屋号にしているという事実です。
公式サイトでは、その理由をこのように説明しています。「自分の名前にかけて責任を持ってお客様をケアし続ける」——つまり、たかの友梨という人物そのものが、ブランドの品質保証なのです。
この覚悟が、50年以上にわたって品質を維持してきた根本にあります。名前を背負うということは、妥協を許さないということ。実際、たかの友梨氏自身が「私は技術者上がりです。妥協は一切しません」と公言しているように、お客様への向き合い方は創業当時から変わっていません。
「真のエステティシャン」の定義
たかの友梨ビューティクリニックが掲げる「真のエステティシャン」とは、どのような存在でしょうか。
公式理念ページ(たかの友梨ビューティクリニックの理念)によれば、それは「高度なエステティック技術だけではなく、愛といたわりの心を持ち、お客様に癒しや深いやすらぎを感じていただける美のセラピスト」と定義されています。
技術だけでなく、「心」を重視しているところが、このブランドの本質的な特長です。すこやかな心が自然治癒力を高め、その人本来の優しさと美しさを導きだすという考え方は、単なる施術を超えた「人間への関わり方」の哲学といえるでしょう。
経営理念「愛といたわりの精神」が生む3つの文化
「愛といたわりの精神」という経営理念は、お客様への施術にとどまらず、社内文化にも深く根付いています。
- エステティシャン個人の技術向上だけでなく、「心」の育成も研修に組み込まれている
- 東日本大震災・熊本地震・能登半島地震など、自然災害が起きるたびにエステボランティアや義援金活動を実施
- 全社員参加型の社会貢献活動(チャリティTシャツ購入、児童養護施設へのサポートなど)を継続
この理念が、お客様だけでなく社員の働く意義にもなっているのが、長年支持される理由のひとつです。
世界40カ国を旅して生まれる「本物の技術」
たかの友梨氏の技術探求の旅
たかの友梨氏がブランドの技術基盤として大切にしてきたのが、「世界から本物だけを選び抜いて日本へ持ち帰る」という姿勢です。
これまでに訪れた国は40カ国以上。単なる観光ではなく、各地に根付く伝承美容技術や最先端のエイジングケアを自ら体験し、「これは本当に素晴らしい」と実感したものだけを厳選してエステに導入してきました。
その探求心のすごさは、導入してきた技術の幅広さからも伝わってきます。
- スイス発のバイオテクノロジーを活用したエイジングケア(1985年から毎年現地訪問)
- インド伝統療法「アーユルヴェーダ」に基づく施術「アヴィヤンガ」
- ハワイ先住民に伝わる「ロミロミ」(日本への導入は業界最速)
- イスラエル塩美容「イスラリアン」
- 地中海沿岸の海草療法「アルゴテラピー」
- 韓国の金箔エステ・ヒト幹細胞配合コスメとの融合
- 中国伝統の「かっさ」を独自アレンジした「伝統ツリートリートメント」(2025年最新)
「輸入」ではなく「日本人向けの再開発」
ここで重要なのが、たかの友梨氏が海外技術をそのまま「輸入」するのではなく、必ず日本人の肌質や感覚に合わせて研究・改善した上で提供しているという点です。
「日本人の肌は繊細。だからこそ、優しくしっかりケアする技術が必要なんです」——この言葉が示すように、文化や体質の違いを踏まえた丁寧なカスタマイズが、クオリティの高さを支えています。
日本のエステ初のISO9001認証取得
技術の品質管理への姿勢は、2012年の出来事にも表れています。フランスに本部を置くISO認証機関ビューローベリタスにおいて、品質マネジメントシステムの国際規格「ISO9001」の認証を取得——これは日本のエステティックサロンとして初めてのことでした。
主観的な「よい施術」を超えて、品質を客観的な基準で担保しようとする姿勢は、老舗ブランドとしての誠実さの証といえるでしょう。
「ハンド技術」へのこだわりが生む唯一無二の価値
機械に頼らない、手のぬくもりの力
近年、エステ業界では高性能マシンによる施術が増加しています。しかしたかの友梨ビューティクリニックが創業以来一貫してこだわってきたのは、「ハンド技術」の追求です。
公式サイトでも「機器やコスメに左右されないハンド技術は一生ものの財産となります」と明言されています。機械が生み出せない「手のぬくもり」「圧の加減」「リズム」——そのすべてが、熟練したエステティシャンの手のひらからしか生まれないと考えているのです。
実際に体験したお客様の声にも、「ハンドマッサージはエステティシャンの技量が効果に大きく反映される。共通して口コミで高い評判」という評価が多く見られます。
徹底した研修制度で技術を伝承する
優れたハンド技術は、一朝一夕では身につきません。たかの友梨ビューティクリニックでは、その技術を確実に伝承するための研修制度を整えています。
- 新人研修 → 正社員研修 → ステップ研修の3段階構成
- サロン実地研修と組み合わせた実践的カリキュラム
- 各分野のエキスパートや海外特別講師による講義も実施
- 社内規定の技術検定に合格した者のみがエステティシャンとして施術に入れる
エステ未経験者でもゼロから育てられるこの仕組みが、全国の直営サロンで均一な品質を保つ根拠となっています。
「人を大切にする」文化が生む、長続きする組織力
たかの友梨の社員は「宝」
「愛といたわりの精神」は、お客様だけに向けられているのではありません。その精神は、社員への向き合い方にも深く反映されています。
子育て中のエステティシャンが職場復帰しやすいよう、産休・育休制度の整備や育児ショートタイム勤務(6時間)を導入。全国に直営サロンが展開されているため、Iターン・Uターンなど勤務地の変更にも柔軟に対応しています。
さらに2025年10月には、「タレントパレット」と呼ばれる元社員再雇用プラットフォームを導入。一度退職した社員が、ライフステージの変化に合わせて戻ってきやすい環境を整えました。たかの友梨の社員として磨いてきた技術を「過去のもの」にしてしまわない、「縁を切らない」という温かいスタンスが、このシステムに表れています。
業界1位の評価と受賞歴が示す実力
社内文化の充実ぶりは、外部からの評価にも表れています。
- 国内最大級の社員クチコミサイトによる「理容、美容、エステティック業界の総合評価ランキング」で1位を獲得
- 「日本美容企業大賞2024・2025」で2年連続3冠(HR部門・製品開発部門・顧客満足度部門)
- エステ専門誌「エステセレクション2024」で金賞受賞
特に「HR部門」の受賞は、社員からの働きがいや労働環境に対するポジティブな声が多く寄せられていることが評価されたものです。働きやすい職場であるからこそ、技術の高いエステティシャンが育ち、長く働き続け、それがお客様への質の高いサービスにつながる——という好循環が生まれているのです。
社会貢献活動が語る「本物の理念」
カンボジアへの学校寄贈、災害ボランティア…理念が行動になる
本当の理念かどうかは、「行動」を見ればわかります。たかの友梨ビューティクリニックが長年にわたって継続してきた社会貢献活動の幅広さは、業界の中でも際立っています。
- 群馬県前橋市の児童養護施設「鐘の鳴る丘少年の家」への継続支援(体育館・食育施設の寄贈、クリスマスプレゼント、ディズニーランドへの招待など)
- カンボジアへの校舎4校以上の寄贈(この功績でカンボジア国王から勲章を授与)
- 東日本大震災・熊本地震・西日本豪雨・能登半島地震での被災地エステボランティアと義援金活動
- 特別養護老人ホームへの母の日エステボランティア(毎年継続)
- ピンクリボン活動(乳がん啓発)のスタート
エステ代金の一部を社会貢献活動に充てる仕組みを設け、「お客様の笑顔がより広い社会の笑顔につながる」という循環を作り出しています。
2019年・2025年の紺綬褒章受章
こうした活動の積み重ねが認められ、たかの友梨氏は天皇陛下より2019年7月と2025年3月の2度にわたって紺綬褒章を受章しています。紺綬褒章は、公益のために私財を寄付した個人・団体に贈られる章。国家からの正式な認定という意味でも、その社会的貢献の大きさが証明されています。
まとめ
50年以上にわたって選ばれ続けるたかの友梨ビューティクリニックの強さは、ひとことで言えば「本物へのこだわり」です。
創業者・たかの友梨氏が自らの名前を屋号に刻んだ覚悟、世界40カ国以上を巡って探し続けた技術、そしてすべての根幹にある「愛といたわりの精神」——これらは創業から現在まで一貫して変わっていません。
特筆すべきは、その理念がお客様だけでなく、社員や社会全体にも向けられている点です。働きやすい環境づくり、社員の長期的なキャリア支援、自然災害時の被災地ボランティア、児童養護施設への継続サポート……。「美しくすること」を通じて、より豊かな社会を実現しようとする姿勢が、ブランドへの深い信頼を生み出しています。
変化の激しい美容業界において、老舗ブランドが長く愛され続けるためには、流行を追うことよりも「揺るがない軸」を持つことが大切なのかもしれません。たかの友梨ビューティクリニックは、その見本のような存在です。
あなたも一度、創業から変わらない「愛といたわり」の施術を体験してみてはいかがでしょうか。
最終更新日 2026年2月20日 by nanala