「鉄のサプリを飲んでいるんですが、食事も気をつけないとダメですか」。
病院の栄養科にいた頃、この質問を何百回聞いたか分かりません。
管理栄養士の三好のぞみです。
総合病院で10年、貧血や骨密度低下の方の栄養指導をしてきました。
今は保育園の給食献立を作りながら、公民館で食事の講座を開いています。
私自身、産後に鉄欠乏性貧血とこむら返りで苦労した時期があります。
この記事では、その経験と数字を踏まえた私なりの線引きを書きます。
食事で足りていない人が多いのは事実です
まず前提として、日本人の平均的な食事ではミネラルが足りていません。
厚生労働省の令和6年国民健康・栄養調査の結果概要を見ると、30代女性のカルシウム摂取量は1日平均400mgでした。
2025年版の食事摂取基準では、30〜49歳女性の推奨量は650mgです。
鉄も同じ傾向でした。
30代女性の平均は6.3mgで、月経のある女性の推奨量10.5mgに届いていません。
数字の出どころは令和6年国民健康・栄養調査報告で確認できます。
平均値なので「あなたが不足している」とは言い切れませんが、意識せずに足りている人は少数派だと感じています。
それでも私が「まず食事」と言う理由
足りていないなら、サプリで埋めればよいのではないか。
そう考えるのは自然です。
それでも食事を先に置く理由が2つあります。
- サプリは満腹感がないので、量の感覚が働かず摂りすぎやすい
- 食事に含まれる量では起きない過剰のリスクが、サプリでは現実になる
2つ目は基準にもはっきり表れています。
日本人の食事摂取基準(2025年版)では、マグネシウムの耐容上限量を「通常の食品以外からの摂取」に限って成人350mg/日と定めています。
食品からの摂取には上限を設けていません。
カルシウムについても、上限の2,500mgは「サプリメントなどを使用する場合に注意するべき値」だと書かれています。
1つ目は国立健康・栄養研究所も同じ指摘をしています。
健康食品をお使いの方へ 過剰摂取の危険性というページには、カルシウムとビタミンDのサプリを表示量より多く摂り続けて腎臓の働きが悪くなった事例が載っています。
食事にはもう1つ利点があります。
小魚を食べればカルシウムと一緒にたんぱく質が入り、赤身の肉なら鉄と亜鉛が一緒に入る。
1つの栄養素だけを狙って摂ることが、そもそもできないのです。
サプリを使ってよい場面と、私の線引き
サプリを否定しているわけではありません。
私も産後の数か月は、医師の指示で鉄剤を使いました。
私が講座で伝えている線引きは、こうです。
| 状況 | 私の考え |
|---|---|
| 血液検査で欠乏が分かっている | 医師と相談してサプリや医薬品を使う |
| 検査はしていないが、だるさが続く | まず食事を3日記録し、足りない食品群を1つ足す |
| 食事は整っているが念のため | 単一成分の高用量サプリは避け、食品に近いもので補う |
3つ目の「食品に近いもの」として、青汁や粉末野菜を使う方は多いと思います。
1杯で1日分が埋まるほどの量は入っていないので、主役にはなりません。
ただ、野菜が続かない日の穴埋めとしては、続けやすさを含めて現実的な選択だと考えています。
ミネラルが足りなくなる原因や体に出るサインは、ミネラル不足の原因や症状をまとめた日本薬健のコラムが食品名まで載っていて読みやすかったです。
青汁を販売している会社の記事ですが、「青汁だけで全部は補えない」と書いてある点に、私は好感を持ちました。
まとめ
サプリか食事か、という問いへの私の答えは「食事が土台、サプリは検査結果か医師の指示があるときの補助」です。
- 平均的な食事ではカルシウムと鉄が推奨量に届いていない
- サプリは満腹感がなく、食品では起きない過剰が起きうる
- 迷ったら、まず3日分の食事を書き出してみる
今日の夕飯に小魚か海藻を1品足す。
サプリの棚を眺めるより先に、そこから始めてみてください。
最終更新日 2026年9月6日 by nanala